「ククルス・ドアンの島」初日、古谷徹「僕にはまだ帰れるスクリーンがあるんだ」とウルウル
劇場アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」の初日舞台挨拶が、去る6月3日に東京・丸の内ピカデリーで開催され、アムロ・レイ役の古谷徹と安彦良和監督が登壇した。
まず古谷は「僕にはまだ帰れるスクリーンがあるんだ。こんなにうれしいことはない!」「皆さんアムロが帰ってきました! ただいま!」と目を潤ませながらアムロのセリフを引用して挨拶。安彦監督は「本日の天気は雷でしたね。実は雷は本作での重要なキーワードになっているんですよ(笑)」と、劇中に雷にちなんだシーンが存在することを明かす。挨拶を終えると、古谷はジャケットの中に着用していた「親父にもぶたれたことないのに!!」と書かれた劇場グッズのTシャツを披露。「この映画を観るときにはバッチリだと思います。ぜひ、お買い求めください。『親父にもぶたれたことないのに!』」とアムロの声色でグッズを宣伝し、会場の笑いを誘った。
改めて、古谷は映画の魅力について「モビルスーツのかっこよさ、美しさ、そして子供たちやキャラクターのかわいさ、心温まるストーリー、何よりも強くてかっこよくてかわいくて優しいアムロ・レイ! これらが魅力でございます!」と熱くアピール。また今作は1979年に放送された「ガンダム」シリーズの原点であるTVアニメ「機動戦士ガンダム」の第15話「ククル ス・ドアンの島」を映画化したものであるため、古谷は「改めて何度も15話を見まして、当時25歳だったんですけど、15歳のアムロを大人っぽく演じているんですよね。緊張感のある切羽詰まった感じで……。でも今の自分の年齢になってから当時のアムロを見ると、彼はまだ子供じゃないかと思いました。なので今回に関しては、本来のアムロの姿を表現しようと思って幼い声を意識して演じています」と語る。
安彦監督は「古谷さんには『THE ORIGIN』のときに8歳のアムロを演じていただきましたので、今回も不安はなかったんですけれども、実際にアフレコで声をいただいたときに、いい意味で、また若返ったなと思いました」と賞賛。この言葉を受け、古谷も「うれしいです」と微笑む。さらに今後新たにファーストガンダムを映画化する可能性と、次に映画を作るとしたらどのエピソードにするかという質問に対し、安彦監督は「僕のほうでは(その考えは)ありません。ファーストガンダム原理主義者でして、僕の関心はファーストにしかないので、映像化したいエピソードはないですね。歳のことも考えると本作が自然に最後になるかなと思います」とコメント。一方で古谷が映像化してほしいエピソードについて「『THE ORIGIN』第6章の続きから全43話すべてがいいですね」と希望を言うと、会場は拍手喝采で賛同した。
さらに古谷は「ガンダム」シリーズについて「(『ガンダム』を)観たことない方はロボットに乗って戦う話だと思っていると思うんです。それも魅力なんですが、『ガンダム』は人間ドラマなので、政治だとか軍事だとか、経済だとか社会とか、僕らにいろいろなことを教えてくれる作品ということを知ってほしいです。世間はシャア・アズナブルが主人公だと思っているかと思いますが、観ていただけるとアムロが主人公だとわかってくれるはずです」と紹介。「ククルス・ドアンの島」については「観終わった後に心が温かくなります。15歳の少年が言うセリフではないセリフまで言います。本来なら敵であるドアンとの触れ合いの中で成長していくアムロの姿も含めて、素敵な映画になっていると思います」と語る。安彦監督は「ガンダム」を初めて観る人に向け、「よし悪し別にして、『ガンダム』がなんか難しいなと思っている方もいると思いますが、ガンダムは本来難しい話じゃないんです。『ククルス・ドアンの島』は(全体の流れから)はみ出したエピソードなんですけど、初めて観る方でも楽しめると思います。親子3代で観てほしいですね。おじいさんは懐かしく感じて楽しめる。孫の代でも理解できる。そんないいエピソードだと思います」と述べた。
最後に、古谷は「きっと期待を超える作品になっていると自負しております。15歳のアムロをガッツリ演じさせてもらって、改めて、アムロ・レイというキャラクターが大好きになったんですよね。もっともっとアムロを演じたいって思いました。ぜひ、皆さんの力を貸してほしいです。よろしくお願いいたします」と挨拶。安彦監督は「古谷さんの言葉、大変身に余るもので、作った人間として大変うれしいです。年齢というこちらの事情もありますが、ファーストガンダムは味わえば味わうほど本当にいい味が出てくる。それは富野由悠季の才能が大きいんですけれど。『THE ORIGIN』のときに『あと10分あったらガンダムは大地に立つのに』とスタッフに言われたことがあって、その言葉もスタッフの愛だなと思ったんです。まさに本作でガンダムが大地に、ある意味原点に立ったと思います。アムロも15歳の少年らしい、あどけない芝居をしています。そういったところが『ガンダム』の原点ではないかと。若い人は若い人なりに、オールドファンはオールドファンなりに楽しんでいただけたらと思います」とメッセージを贈った。
劇場アニメ「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」
全国公開中
スタッフ
企画・製作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:安彦良和
副監督:イムガヒ
脚本:根元歳三
キャラクターデザイン:安彦良和、田村篤、ことぶきつかさ
メカニカルデザイン:大河原邦男、カトキハジメ、山根公利
総作画監督:田村篤
美術監督:金子雄司
色彩設計:安部なぎさ
撮影監督:葛山剛士、飯島亮
CGI演出:森田修平
CGI監督:安部保仁
編集:新居和弘
音響監督:藤野貞義
音楽:服部隆之
配給:松竹ODS事業室
製作:バンダイナムコフィルムワークス
キャスト
アムロ・レイ:古谷徹
ククルス・ドアン:武内駿輔
ブライト・ノア:成田剣
カイ・シデン:古川登志夫
セイラ・マス:潘めぐみ
ハヤト・コバヤシ:中西英樹
スレッガー・ロウ:池添朋文
ミライ・ヤシマ:新井里美
フラウ・ボゥ:福圓美里
エグバ・アトラー:宮内敦士
ウォルド・レン:上田耀司
ユン・サンホ:遊佐浩二
セルマ・リーベンス:伊藤静
ダナン・ラシカ:林勇
マルコス:内田雄馬
カーラ:廣原ふう
(c)創通・サンライズ